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ロシア国立海軍文書館長らを招聘して「日露関係史料をめぐる国際研究集会」を開催

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5月7日(火)、史料編纂所(久留島典子所長)では日本学士院と共催による「日露関係史料をめぐる国際研究集会」を開催しました。帝政ロシアの中央政府史料約700万ファイルを所蔵するロシア国立歴史文書館、同じく海軍文書館との研究協力協定にもとづき、史料編纂所は日本関係史料の系統的な調査・収集事業を実施して、今回の研究集会は通算13回目となりました。日本学士院から委嘱され、支援をうけた国際学士院連合関連プロジェクトです。日露交流に尽くした功績から、ロシア国立歴史文書館アレクサンドル・ソコロフ館長は2012年度の外務大臣表彰を受賞し、海軍文書館セルゲイ・チェルニャフスキー館長もまた、駐サンクトペテルブルク日本総領事表彰を受けています。今回の研究集会はこの両館長も招聘して行われましたが、歴史文書館ソコロフ館長は直前に体調を崩して来日を中止し、当日の報告は研究代表者:保谷徹教授が代読しました。

当日は以下の3報告がありました。
ロシア国立海軍文書館セルゲイ・チェルニャフスキー館長は「ロシアによる沿海州の獲得とウラジオストク港の建設(ロシア海軍文書館文書より)」と題し、1860年ウラジオストク建設にいたるロシア海軍の動向を中心に、ロシアのアムール地域・沿海州進出の歴史を報告しました。北京条約の交渉中に海軍による実質占拠の先行を命じる史料などが明らかにされています。次に、 ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所ワジム・クリモフ上級研究員は、「リハチョフ、イヴァン・フョードロヴィチ(1826-1907):艦隊司令長官・学者・人間」と題し、1861年の対馬事件(ロシア艦ポサードニク号の対馬芋崎占拠事件)の立役者であったリハチョフ提督について、彼の海軍発展構想とその破綻という視角から論じました。対馬占拠の失敗は皇帝の不興を買い、海軍強化の夢破れたリハチョフはパリでその人生を終えています。最後に、ロシア国立歴史文書館アレクサンドル・ソコロフ館長の報告「有栖川宮のペテルブルグ訪問と『宮廷外交』」が代読されました。1889年に皇帝アレクサンドル3世を訪問した有栖川宮威仁親王の接遇の様子が詳細に復元された報告でした。3報告はいずれも現地文書館の具体的史料を用い紹介した貴重な報告で、50名の参加者の活気あふれる討論が行われました。

報告者らは研究集会に先立ち、日本学士院(久保正彰院長)を訪問し、院長・部会長の先生方と懇談しました。また8日には仙台市へ移動して東北大学災害科学国際研究所(平川新所長)を訪問し、東日本大震災で被災した史料の修復の様子などを見学しました。その後、ロシアへ漂着した石巻の若宮丸関連史跡を訪ね、世界遺産の平泉中尊寺を訪問しています。


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